金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

04

新聞購読のお申込み

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く
世界で認知されるブランドに

生産効率向上し、需要増に対応

 西嶋守男(にしじま・もりお)社長 山口県出身。1975年慶応大学工学部卒業後、造船会社入社。78年冨士ダイス入社、2006年フジロイ(タイランド)社長、09年冨士ダイス取締役、15年社長に就任

 耐摩耗工具メーカーとして国内トップシェアを誇る冨士ダイス。超硬合金製のダイスやロール、製缶用金型、ガラスレンズ成形用金型など耐摩耗工具に特化した事業を展開し、来年には創業70年を迎える。「世界で認知されるブランドを目指したい」と話す西嶋守男社長に現在注力している取り組みや今後の成長戦略などを聞いた。

 ー来年で創業70年を迎えます。
 当社はダイス・プラグの製造から始まり、自動車部品や製缶、ガラスレンズ向け金型などに製品を広げ、超硬素材から加工までを一貫した受注生産体制で事業を展開してきた。その結果、現在では耐摩耗工具の市場シェアの約3割を獲得するまでに成長できた。

 ー今後の成長戦略を教えてください。
 今年策定した中期経営計画では「受注増への対応と将来の社会変化への準備」を基本コンセプトに掲げた。その中でも特に注力している一つが、生産効率の向上だ。2018年3月期の売上は179億円(前期比8%増)で過去最高となり、今後も超硬製品の需要は増加するとみている。こうした需要増に対応するためには、供給能力の強化が欠かせない。

 ー具体的に取り組んでいることは。
 まずは生産拠点の再編だ。昨年には門司工場を熊本製造所に集約し、生産効率を高めた。また、自動化にも取り組んでいる。郡山製造所ではロボットを導入し、測定の自動化を図っている。熊本製造所では加工機とロボットを組み合わせた加工工程の自動化に取り組んでおり、年内には本格稼働を予定している。

  ー将来の社会変化への準備とは。
 次世代自動車の拡大による自動車産業の変革など今後あらゆる産業でニーズの変化が予測される。当社は、全国をカバーする「営業力」と高度な冶金技術を基にした「素材開発力」、そして0・1μmオーダーといった高い加工精度が要求される金型加工で培った「加工技術力」を持つ。これらの強みを活かし、変化するニーズに柔軟に対応するとともに、新技術の開発と新分野の開拓を目指す。

 ーどんな新技術、新分野に取り組みますか。
 現在は医療・化粧品向け金型や次世代自動車部品向けの金型、赤外線レンズ金型の開発に着手している。また、超硬合金は耐摩耗性が高く、長寿命化や精度の安定化が図れる。ユーザーの課題
を解決するために、既存分野でも超硬合金への切り替えを提案していく。

  ー長期的なビジョンは。
 当社のブランドである「フジロイ」を海外でも認知されるようになってほしい。競争力を高める取り組みを進める一方で、アジア、北米を中心に海外展開も加速させ、少しずつブランドを根付かせていきたい。

金型新聞 平成30年(2018年)10月10日号

関連記事

ユーザーとの距離近づけ 高付加価値化を提案
岡本工作機械製作所 石井常路社長

 研削盤メーカーの岡本工作機械製作所(群馬県安中市、027-385-5800)は今年5月、新たに3カ年の中期経営計画を発表した。新中期経営計画の達成に向けた基本戦略の一つとして「顧客付加価値強化」を挙げる。「今まで以上に…

スワニー 耐久性高い金型、協業で製造【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

5万個の部品生産可能に 製品設計会社のスワニーは、樹脂型を3Dプリンターで製造し、量産材料で射出成形が可能な「デジタルモールド」を手掛ける。同社はこれに加え、金属3Dプリンターで製造する金型「アディティブモールド」を岡谷…

【金型の底力】美濃工業 金型の内製化に着手

コストダウン、納期短縮図る 自動車用アルミダイカスト部品メーカーの美濃工業(岐阜県中津川市、0573-66-1025)は2021年3月、埼玉県熊谷市に「熊谷金型センター」を設立し、金型製造を開始した。20年10月には静岡…

日進工具が展示会

後藤社長に聞く 見どころと狙い  12年ぶりに日進工具が精密微細加工に特化したプライベートショー「NSTOOLプライベートショー2020精密・微細加工技術展」。小径エンドミルはもとより、微細加工機、治具、そして切削加工ユ…

リーダーの条件Part3
いま活躍するリーダーの心得

 新型コロナで需要が減速し、自動車の電動化で産業構造が変わるかもしれない。先の見通しにくい混沌とする時代に、リーダーはどういったことを心掛け、自らの指針としているのか。時代をリードに考えを聞いた。 伊藤製作所 伊藤 澄夫…

トピックス

関連サイト